◆2009年10月29日(木曜日)あさぎり夕
明日はコバルト文庫の発売日です。
タイトルは『先生はいつもやさしい』、イラストは以前から一度はお願いしたいと思っていた穂波ゆきねさんに、念願かなって描いていただくことができました。
透明感のある絵がとてもすてきなのです。
さらに今回はイラストだけでなく、冒頭に4ページのショートマンガを描いていただきました。
やー、なんか嬉しいな。
今は色々な事情で描けなくなってしまいましたが、やはり私はマンガ家のつもりでいるので、本にマンガがついているだけでなんとなく浮き浮きします。
ネームは脚本形式で書いて、コマワリ等は穂波さんの感覚にお任せしたのですが、見事に私が想定していたコマワリと違ってました。
以前に原作の仕事をやらせていただいたときも思ったのですが、本当にマンガ家さんはそれぞれなんですよね。
こういう切り方しかないだろうと思っているページでさえ、やはり違うんです。
たぶん、同じ脚本を数人のマンガ家さんにネームを切ってもらったとしても全部違ったものになるんじゃないでしょうか。
それはイラストにも言えるんですが。
ラフを見た瞬間「こうきたか!」と思うことがどれほど多いことか。
まったく反対から見たアングルだったり、アップとロングの位置関係が逆だったりとか、俯瞰だとかあおりだとか、どなたに描いていただいても、ひとつとして私と同じイメージがないことにつくづく感心します。
絵のイメージというのは、絵描きさんの数だけあるのだと。
さて、小説の話になりますが。
受の青は穂波さんが書かれる主人公タイプの少年なんですが、攻の仁科がむしろ脇役タイプと言いますか。主人公カップルにちょっかい出すいけない大人を攻に持ってきてしまいました。
常々、穂波さんが描かれるイラストやマンガを見ながら、この脇役が攻の作品を読みたいと思っていたので、私的にはとても楽しく書かせていただきました。
優しい微笑みで生徒をたぶらかす、いけない先生という感じです。
小説ともども穂波さんの繊細なイラストやマンガもお楽しみに。
そして11月1日には角川ルビー文庫からお初の文庫の発売となります。
タイトルは『公爵を呼ばれる男』、イラストはマンガ家の高久尚子さんです。マリアベールを被った可愛い少年と、黒髪のすてきな紳士が目印です。
ザ・ルビーに掲載された作品を改稿して、その後の湊と一世の物語を書き下ろしました。
今回は何かフェアがあるらしいのですが、今ちょっと他社さんの仕事のまっ最中で確認している余裕もないので、ルビー関係の詳しい話はまた追って書きますね。
ともあれコバルトとルビー文庫とほとんど同時期に店頭に並びますので、是非とも両方お手にとってみてください。さい。
◆2009年10月18日(日曜日)あさぎり夕
明日は『夜明けに覇王の夢をみる』の発売日です。
リブレ出版のBBN、イラストはかんべあきらさんです。
ゲームのキャラクターデザイナー志望で妄想癖ありの美崎彩斗と、I T 業界の覇者で傲慢社長の井波東吾が繰り広げる少々ボケ入り勘違いラブです。
歳だけくったどっちもお子様な二人の嫉妬めらめらな情感を狙ったつもりが、どこか天然っぽくなってしまいました。
コメディのつもりではないですが、どうも最近あまり深刻なネタが書けなくなっているようです。
さて、作品の裏話というか失敗談をひとつ。
実は5月に出版されたコバルト文庫で『玉の輿でいこう!』という作品の攻の名前が鹿島東吾というのですよ。
そうなんです。今回の攻と同じ『東吾』という名前なんですよ。
井波のほうが2年前に書いた作品の脇役だったので、当然そっちが先に出来てたんですが、脇役ということもあってすっかり名前を失念してしまっていたんです。
で、『玉の輿』を書く際に兄弟全員が東西南北の名前がついているというところから発想したもので、その中でもお堅いタイプだからとなんとなく真面目そうなイメージの東を使ってしまったんです。
今回『覇王』を書く段になってようやく井波も東吾だったと気づいたというわけで、5ヶ月ほど間は空いてるんですが続けて出た本の攻が同じ名前というマヌケな展開になってしまいました。
その上、どっちもいわゆるシンデレラストーリーで、なんか色々重なっちゃったんですが。
似たような状況に置かれても、『玉の輿』のヒカリはここぞとばかりに攻を脅す。『覇王』の彩斗は妄想に逃避すると、性格がまったく違うのでそれぞれに楽しんでいただけるのではと思っています。
ということで、どこかで見かけたら是非、お手にとってみて下さい。