2007年5

 


◆2007年5月18日(金曜日)あさぎり夕

う〜ん、困ったなぁ。
コバルト8月刊の仕事は遅々として進みません。

このままでは過去、もっとも遅い仕上がりになりそうです。ようやくキャラの顔が決まりつつあるかなという感じで…。ここのところ久々に日誌の更新が多いのは、仕事から逃げてる証拠でしょう。
今回は少々引っ張ってもイラストも自分ですから、小説が上がれば即絵にかかれるという状況なので、よけいに進まないのかもしれません。

この先の仕事に影響しそうなほどに遅れていて、秋にかけてまた他のイラストレーターさんに絵をお願いする予定があるので、先方にご迷惑をかけることになると困るし……、あれこれスケジュールを立て直しているところです。

そんな矢先、おおや和美さんのカラーが仕上がったという連絡をいただきました。
昨日、そのカラーコピーを送ってもらって、またまた美しさにくらくらしてしてしまいました。ラフでさえうっとりだったのに、それがカラーですから、本当にタイトルどおりの『美しいひと』です。
お楽しみに〜♪

イラストの美しさはもう折り紙付きなのですが、仕上がりの早さにもうびっくりでした。

コバルトの場合、私は色校正が3校まで出せるくらいの日程でやっているのですが、今回のおおやさんの仕上がりは、それよりさらに早かったわけで。ご自分のペースを把握してスケジューリングをしてらっしゃる姿勢には、本当に頭が下がります。
私も昨今、目の調子が悪かったりで、少しずつ仕事がずれ込んでいるもので、見習わなければとつくづく思いました。


で、話変わって。
今日は『ダイヤモンドに口づけを6』の発売日。
正実&竜樹とミオ&陣野の4人バージョンの、佐々成美さんの美しいイラストが目印です。

4人だと構図をとるのが大変なのに、毎回お約束のコスプレに(今回はサリーです)、宝石にと面倒なものばかりで、佐々さんにはご苦労をおかけしてばかりなのですが、正実にべったりの竜樹は甘ったれ顔のくせに妖しげで、いいですよ〜v

今回はピンナップに、小説b‐Boy5月号の表紙を使わせていただきました。
雑誌をごらんになった方はおわかりかと思いますが、陣野とミオの背景に描いてあるものが、ロゴで隠れてしまって、ほとんど見えなくなってるんです。
あれ、実は鯉のぼりなんです。

最初に担当さんから、佐々さんが今回は鯉のぼりを描きたいとおっしゃっているんですが、との話を聞いたときには、
(鯉のぼりをどうやって?)
と思いつつも、絵師さん自ら描きたいものがあるならその気持ちを優先するのが一番なので、それでいきましょうということになったのですが。仕上がったイラストを見て、マジで驚きました。

まず構図の大胆さに唸り、次に鱗や着物の緻密さに驚嘆し、最後に、でも、表紙にしたら背景は全部潰れてしまうと愕然としました。
これはもう雑誌の表紙用に描かれたものではないと。あまりに一枚絵として完成されすぎていて、どんなロゴを乗せようが、絵のバランスを壊してしまうだけだと。
たぶん、ご本人も人物以外は潰れることはご承知の上で、それでも描かずにいられなかったのだろうということは、絵に現れている情熱でわかるのですが。
とはいえ雑誌の表紙である以上、人物を大きく見せるしかなく、結果的に背景のほとんどが切られてしまったのです。

私としても、それではあまりにもったいないし、ちょうどノベルズが5月発売ということもあるので、ピンナップとして使わせていただくことにしました。
なので、ピンナップにはよけいな文字はいっさい入っておりません。
佐々成美さん渾身の一枚をご堪能ください。

って、小説の内容に関してのコメントはなし?
え〜と、正美兄が竜樹を飼い慣らす話です。


◆2007年5月13日(日曜日)あさぎり夕

前回の日誌で書いたように、引き続きコバルト8月刊の仕事をやっているのですが、やっぱり自分の絵だとキャラの限界があって、なかなか進みません。
ストーリーが浮かんでも、キャラの顔が描けないってことの繰り返しで。無駄に時間が過ぎていくなと鬱になっていたところに、7月刊のおおや和美さんのカバーラフが送られてきて、ちょっと舞い上がっているので、日誌を書いてます。

ラフというより下書きなのではと思うくらい、表情がちゃんと描き込まれていました。
2枚あって、1枚はウエストから上くらいのツーショット。もう1枚が、主人公の里久(りく)のロングに相手役カイエのアップという構図で、このアップがもう美しい美しい!

BLのカバーは主役二人のツーショットがお約束なんですが、流れてきたFAXを見たとたん、そのアップにやられてしまって、ちょっと変則的かもと思いつつ、そちらでお願いしました。
今から仕上がりが楽しみです。

実は、事前の担当さんとの打合せのさい、私は半ば本気で、
「カイエのアップだけにしません?」
と言ったのですが、さすがに主人公がいないというわけにもいかず(笑)、できるだけ顔が大きくなるように二人のバストアップでという感じでお願いしていただいたのです。
1枚目のラフを描いた段階で、おおやさんご自身が、もっとアップにしたほうがいいのではと感じて2枚目を描いてくださったと聞いて、カイエのアップ希望だった私としては嬉しいかぎりです。

ストーリーの中に、たっぷりカイエのアップという念を込めたので(笑)、そのあたりをくみ取っていただけたのかもしれません。


と、喜んでばかりはいられません。
8月刊のほうは、なかなか文字書きの意図をくみ取ってくれないイラスト描きのあさぎりに、なんとかキャラを捻り出してもらわないと。
仕事に戻ります。


◆2007年5月8日(火曜日)あさぎり夕

ものすごく長い間沈黙してました。ごめんなさい。
本当に物理的に、仕事以外のことに頭を向けている余裕がなかったもので、5月刊の表紙をようようアップしました。

何をしていたかというと、必死にコバルト文庫の仕事をしていました。今回、コバルトではお初となりますがイラストが私のではありません。
おおや和美さんにお願いしました。
少女マンガ好きの方はもちろん、BLファンの方もお名前はご存じのことと思います。
もう1年半ほど前から、ご承諾はいただいていたのですがスケジュールの都合が合わず、ようやく念願かなって、7月刊にてごいっしょにお仕事をさせていたくことができました。

毎度言っておりますが、私は絵を頭の中で動かしてストーリーを作るタイプなもので、逆に言うと、イラストによって作品の内容も自然と変わっていきます。
今回も最初になんとなく決めていた設定はあったのですが。頭の中で動いているおおやさんのキャラに合わせて、どんどん性格や行動が変わっていって、
「あ、このタイプは書いたことがない」
というキャラまで書けて、イラストの力というのはすごいなとつくづく感じました。

変人達が住んでいるアパートが舞台なので、これがもしも自分の絵だったら、有栖川一族のようなはっちゃけキャラだらけになると思うのですが。
おおやさんの絵でキャラを動すと、実に地に足がついた変人達になるのです。
少なくとも玲のような分身の術でも使っているのかのように、あっちこっちに出没するスーパーウーマンはいなくて(笑)、みんなちゃんと生活しているなという感じになりました。

さらに、今回は濡れ場がありません。
内容的にも最初からそれほど必要ではないかなと思っていたんですが、書いている間になくてもいいかなという感じになったもので。
なのに今回も三百ページ超えです。普段は50ページは濡れ場があって、そのぶん増えているんだと思っていたのですが、どうやらそうではないようです。
コバルト文庫は304ページの折りがいちばん長いのですが、CMページが入る余地もないです。
てか、実はページオーバーしてしまって、最後に必死で3ページ削りました(泣)。

実際、書くことよりも、大変なのはむしろそのあとの取捨選択――余分なものをばっさばっさと切り捨てる過程なのですが。でも、もしも切り捨てなければどんな作品になるのだろうという気持ちもあって、今はちょっと切り捨てない方向になっているようです。

ただ時間的余裕がないにもかかわらず、長くなる一方という傾向はちょっとよくないので、次回は少し短くまとめたいなと思っているんですが。
担当さんには、まったく信用されてません(笑)。

引き続きコバルト8月刊を、今度は自分のイラストで書く予定ですが。おおやさんの絵に浸りつつ書いた後に自分の絵では、ちょっといやかも……。

ちなみに7月刊のタイトルは、ズバリ。
『美しいひと』です。

先ほどキャララフが届きました。
タイトル通りの美しいキャラが並んでいて、主人公だけは可愛い系ですが、なんだかにまにま笑いが止まりません。